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メーソット: the "westest" of Thailand?
前回のブログに、以前私がタイで住んでいた、ミャンマーとの国境沿いにある街メーソット(Mae Sot)について触れましたが、今回もその流れでMae Sotについて書きたいと思います。

日本は島国なので、あまりピンとこないかもしれませんが、Mae Sotは川向こうが隣国ミャンマーという、二つの国の国境に位置する街で、一般的なタイの様子とはだいぶ異なる、独特の雰囲気を持つ街です。私はタイで生活する前に、ミャンマーにも暮らしていた経験があるので、「初めてなのになんとなく懐かしい」という印象を受けた記憶がありますが、タイにいながらにしてお隣の国、ミャンマーの空気を感じることのできる街だといえます。

それもそのはず、ここには2国間の正式な入国管理所が設けられていて、毎日、たくさんの人やモノが車やトラック等で行き来しているからです。ちなみに国境にはMoei川が流れていて、この川に架けられた橋の両側に、両国の入国管理ポストが設置され、人や物流のチェックを行っています。といっても規模はさほど大きくはなく、タイ側のチェックポイントは、上りと下り一車線だけの高速道路の料金所という感じ。

タイ側の橋のたもとには、ちょっとした市場があって、少なくとも私が住んでいた2000年代初頭には、ルビーなどの宝石や貴金属類(本物かどうかは限りなくギモン)、民芸品、海賊版CDやDVD、スナック菓子や乾物類などが販売されていました。ここは、Mae Sotの観光スポットでもあるのです。そこに、どでかいサインがいつの間にか置かれていて、思わず写真に収めました。



"The Westest of Thailand at Moei River"・・・??文法的になんかヘンですよね。でも意味はよーくわかります。「Moei川、タイの最西端」とでも訳せばよいのでしょうか。笑うべきか、関心すべきか・・・、この表現、かなり気に入っています。

ところでこのMoei川、「国境を形成する川だから大きいに違いない」なんて思ったら大間違い。乾季には水かさも減り、歩いて渡れるほどなのです。川岸から反対側(=ミャンマー側)を眺めれば、女性たちが洗濯をしている風景や、子どもたちが水遊びしている様子がよく見えます。

以前は、人々が頭の上にいろんな物を乗せて、川を歩いて渡っている光景も見られました。橋があるのにもかかわらず、です。正式に国境を越えようとすれば、通関手続きや関税などで、手間もお金もかかるため、それを避けるために、あえて川を歩いて横切る人たちがたくさんいたわけです。もちろん違法行為なので、その後取り締まりが厳しくなり、そうした光景は見られなくなりましたが、以前は、橋の上と下の両方で、白昼堂々と人やモノが行き交うという、不思議な光景が見られました。なんとものんびりした国境管理だと思いませんか?


Mae Sot側から撮った国境。川をへだてた反対側がミャンマーのMyawaddyという街。右手に見えるのが、二つの国をつなぐ橋。

日本をはじめとした先進国からみると、相当ゆるくみえる国境ですが、Mae Sotは国境ならでは緊張感も漂う街です。特にタイとミャンマーという、二つの国の関係が、肌で感じられるところでもあります。白昼堂々と違法に川を越えてくる人たちがいる一方で、政治的あるいは経済的な理由から、正規のルートとは異なる方法でタイ側に入国する人たちも後を絶ちません。家を追われた難民や、生活のために職を求めてやってくる労働者たちです。

また麻薬などの密輸・密売の問題、国境地域における政府軍や反政府勢力をめぐる動きなどが発生することもあります。Mae Sotには、様々な事柄がときに複雑に絡み合って発生する舞台としての顔もあるといえます。

そもそもUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が、この街に事務所を構えたのも、Mae Sot近郊にある国境沿いの難民キャンプで支援活動を行う、というのが第一の目的でしたが、次第にキャンプの外で暮らすミャンマー難民などの支援にも乗り出すようになったという経緯があります。バンコクで不法入国者の取締りによって捕まり、Mae Sot経由で強制送還される人々の中には、難民として保護しなければならない人々もいたからです。

こうした難民をめぐる動きについては、折をみて別の機会に書きたいと思いますが、Mae Sotは、タイとミャンマーという二つの国の要素が互いに入り混じり、混沌とした雰囲気を醸し出す国境の街です。どこの国でも、国境の街というのは、国の中心部とは異なる特有の雰囲気を持っていますが、Mae Sotも例外ではありません。そんな感覚を肌で感じてみたいという方は、一度Mae Sotを訪問してみてください。もちろん、Moei川見学もお忘れなく!
| タイ | 15:26 | - | - | pookmark |